熱電対(温度センサー)

概要

まず異金属の両端を接合した回路を作ります、そしてその接点を異なった温度で保つと、その温度差に応じた熱起電力が生じその回路に電流が流れます(ゼーベック効果)。このことを利用して接合した接点を対象物に、もう一方の接点を熱起電力を読み取れる計器(直流電圧計や温度計)に接続し、その測定値を読み取ることにより温度測定ができます。この原理を利用した二種の異金属(素線)の組み合わせを熱電対といいます。
熱電対には測定する温度により多くの種類が用意されています。


○ 主な熱電対の規格

種類(JIS) 温度範囲 ℃ 素  線 摘  要
B  600~1700 白金ロジウム30:白金ロジウム6 常温付近は不可
S  0~1600 白金ロジウム10:白金 国内ではRが一般的
R  0~1600 白金ロジウム13:白金 還元雰囲気に弱い
K  -200~1200 アルメル:クロメル 還元雰囲気に弱い
E  -200~700 クロメル:コンスタンタン 耐蝕性が良い
J  0~650 鉄:コンスタンタン 還元雰囲気向き
T  -200~350 銅:コンスタンタン 低温の精度が良い
N  0~1200 ナイクロシル:ナイシル 高温安定性に優れる
*上記に記載されている温度範囲の上限は素線の太さや使われる諸条件によって変わります。 

○ 熱起電力と許容差

熱電対は種類により、生じた熱起電力をJISの規準熱起電力表から換算して温度測定します。また許容差とは、換算した温度から測温部の温度を引いた値の許される最大値をいい、許容差の小さいクラス1から、許容差の大きいクラス3まであります。


○ 熱電対の寿命

熱電対の寿命は使用する温度や雰囲気で大きく変わります。一般的に酸化雰囲気中で常用温度以下で使うと白金使用の熱電対(R,B,S)で約2000時間、その他の熱電対(K,E,J,T)は約10000時間程度です。それが上限温度で使用すると50~250時間と寿命は大幅に短くなります。熱電対が寿命に近づくと正常な温度を示さなくなり、最終的には断線します。


○ 熱電対の形状

熱電対
温度センサー
代表的な形状で上から密閉端子型熱電対、開放端子型熱電対、シース熱電対

○ 熱電対の構成

熱電対
温度センサー構造
熱電対
温度センサー

通常、熱電対は素線、絶縁管、保護管、ソケット、端子箱で構成されています。絶縁管は二種類の素線が先端以外で接触しないようにする為のものです。保護管は使用する温度により金属管やセラミック管から選択されます、また使う場所や条件により保護管や端子箱レスのものもあります。


○ シース熱電対

シース熱電対

 シース熱電対とは金属保護管に素線を入れ、絶縁材として高純度マグネシアなどの無機絶縁物を封入して作られた熱電対です。その為に絶縁性や気密性に優れ、細いタイプのものは曲げて使用することも出来ます。ただ金属保護管を使用しているため1000℃以上の高温には不向きです。


○ 補償導線

補償導線

 熱電対と温度調節計、記録計等までの間は補償導線という専用の導線で接続します。補償導線は熱電対と計測機器の端子部分の温度差による誤差を補正します。その為に接続は必ず熱電対の種類と同じ補償導線で接続する必要があります。他の補償導線や電線を使用すると温度誤差が生じてしまいます。
補償導線はその種類により色分けされて識別しやすくしています。
左の写真の黒色はR、青色はK、灰色はB熱電対用です。


○ 熱電対の種類

グラスウール被覆熱電対

グラスウール被覆熱電対

テフロン被覆熱電対

テフロン被覆熱電対

表面測定用熱電対

表面測定用熱電対

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